鶏卵の卵殻形成の機構が,走査電子顕微鏡下で形態的に観察された.
卵管子宮部に下降した直後の卵は,卵殼膜のみに包まれた状態であった.卵殼の形成が始まると,まず卵殼膜表面に微細な粒子が沈着した.ついで卵殻膜の表面の所々に凝塊様隆起が現われた.この隆起は主として有機性物質より成り,石灰沈着の核のような作用をした.後にこの有機性基質の回りに石灰沈着が進み,乳頭状の突起となった.これが卵殼乳頭層の乳頭突起である.乳頭突起は次第に丘状に発達し,最後にはお亙いにゆ合して一層の石灰層,すなわち乳頭層となった.
乳頭層の形成後は,石灰沈着が乳頭突起の上に,卵殼表面に放射状に進み,卵殼海綿層が形成された.卵殼海綿層の形成は徐々に行なわれた.