広島大学水畜産学部紀要 5 巻 2 号
1964-12-20 発行

On the intergeneric hybrids between phasianus colchicus ♂ × gallus domesticus ♀

コーライキジ雄とニワトリ雌の属間雑種について
Watanabe Moriyuki
Ashida Koichi
全文
5.55 MB
JFacFishAnim_5_431.pdf
Abstract
 属間雑種の作出を目的としてコーライキジ雄をニワトリ雌(小しゃも雄を白レグ雌lこ交配して得
たF1) に交配して6羽のF1を得ることに成功した.その雑種卵の受精率,ふ化率及び雛の発育過程
における種々の変化について観察した結果は次の如く要約される.
1. 自然交配により得られた雑種卵6個は全部受精卵で,ふ化日数は22-26日,平均23.8 土1. 6日
で6個が全部ふ化した.
2. 雑種の雛の一般外貌及び行動はニワトリよりもむしろキジに類似した.
3. 6カ月令で雑種の平均生体重は1,672gに達し,その両親鳥の体重の何れをも凌駕し所謂heterosis
の現象が認められた.
4. 羽装の色は可成り遣いがあり,白,薄茶,濃茶及び黒が現われた.
5. 瞬及び脚の色も亦可成りの遠いがあり,灰白色,石盤色及び石盤色様の黒となった.
6. 雑種の尾羽長はその両親鳥の中間であった.
7. 雑種はニワトリの特徴である肉髭や耳梁もなければ又キジの特徴である耳房も無い.しかし約
5カ月令に達する頃より全雑種に低いパラ冠が現われて来た.
8. 雑種の性比は雄:雄=4:2でHaldane rule に一致する.
9. 雑種の蹴爪は形,大きさ,及び位置については両親鳥の蹴爪の夫々の中間であった.
10. 雑種の脚の鱗片数は平均14 でその両親鳥の中間であった.
11. 雑種の性機能の特質は観察出来なかった.