瀬戸内海の沿岸水域に毎年,4月から6月までの間に来遊するウマヅラハギ産卵群の体長組成と年令組成を明らかにするために,1965年,'72年,'73年および'76年の漁獲物の標本について,外観的に雌雄を判別し,各個体の体長を測定して次の結果を得た。
1) 産卵群の体長については,1965年の標本は雌雄ともに16-33cmで,モードは雌が25.5㎝,雄が26.5㎝であった。'72年の標本は雌雄ともに16-31 cmで,モードは雌が23.5 cm,雄が20.5 cmであった。’73年の標本は雌が17-30㎝でモードが21.5 cm,雄は16-31 cmでモードが23.5㎝であった。そして’76年の標本は雌が16-25㎝でモードが22.5㎝,雄は16-26㎝でモードが22.0 cmであった。
2) 産卵群の年令組成については,1965年の標本は雌では1年魚が3%,2年魚が30%,3年魚が67%を占め,雄では順に3%,31%,66%であった。'72年の標本では1年魚,2年魚,3年魚の順に8%,62%,30%であり,雄では11%,67%,22%であった。'73年の標本の雌については同じく,2%,73%,25%であり,雄では3%,73%,24%であった。そして'76年の標本は雌では1年魚が15%,2年魚が85%であり,雄は1年魚が17%,2年魚が83%であった。
3) 産卵群の体長組成を雌雄別に,瀬戸内海の中部海域と西部海域との間で比較したところ,統計学的には雌雄とも有意の差は認められなかった。