食品のミネラルに関する一連の研究の一部として,今回は銅-ソルビット錯体について研究した結果を報告する。すなわち,CuSO4-ソルビット反応系における銅-ソルビット錯体の生成を,分光光度法と電位差滴定法で確認した。そして,この錯形成に対する,反応系の銅/ソルビット比およびPHの影響を調べ,pH12以上の強アルカリ条件下で銅3:ソルビット1の組成比を持つ錯体ができることを確かめた。さらに,この錯形成によって,アルカリ溶液中での銅イオン加水分解重合を阻止すること,およびソルビット1モルは銅3モル比までこの効果を示すことがわかった。
これらの実験結果に基づいて,銅に結合するソルビットの配位基について若干の考察を加えた。