殆んどの学生が都市部の出身であって,農業と農学について白紙であると想定して,大学入学当初に勉学意欲を向上させる目的で学部規模の「農学概論」の授業を行った.取扱った内容は(1)日本の農業はどうなっているか.(2)農業の社会的役割,農業と人間社会とのかかわり,(3)農業の科学―科学としての農学の特長と学び方,の三つである.農学を生物の生産と生産物の利用に関する技術の科学と定義して広義のものとして取扱った.授業後の学生に対する農業・農学についての意識調査の結果から,この授業は一定の効果があったと認められた.