最近脂質の生化学的研究において,薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いた成分の定性・定量的および放射能の分布測定が重要な分析手段となっている.本報では脂質の成分クラスの分離に関し,TLCに応用可能な図形の検討を行なった.
一般に用いられている長方形のTLCと比較し,梯形・逆梯形あるいはダイヤモンド形TLCチャンネルにおいて,複雑な脂質混合系のある成分をよりよく分離検出することができた.このことはTLC上で観察されたRf値およびラジオ薄層クロマトグラムのスキャンニングによる放射活性ピークの検出数から明らかであった.
これらのTLCでみられる幾何学的効果は,異なる図形へ流れ込む溶媒の量と方向性によって,定性的に説明されることを考察した.