広島大学生物生産学部紀要 21 巻 1・2 号
1982-12 発行

Congrid leptocephali in the western North and Middle Pacific - I : Exterilium Ariosoma-type larvae

北西および中部太平洋におけるアナゴ科魚類の葉形幼生に関する研究-Ⅰ : 外腸をもつAriosoma-type幼生
Mochioka Noritaka
Kakuda Shunpei
Tabeta Osamu
全文
2.78 MB
26-2032.pdf
Abstract
黒潮海域からニューカレドニア周辺海域に至る西部太平洋域(36゜N~26゜S、115~177゜E)に出現するアナゴ科のAriosoma-type幼生は、外腸の有無によって2つのグループに分けられる。本研究では外腸をもつ幼生について、形態と地理的分布を明らかにした。これらの幼生は体側の筋隔上に体軸に沿って並ぶ小黒色素胞列の数(1~3列)によって次の3グループに分けられた。1)体側の小黒色素胞列は1列(TypeA₁~A₅)。このグループは背縁部の小黒色素胞の有無によってさらに2グループに分けられる。背縁部に小黒色素胞をもたない幼生(Type A₁)は体側の筋節上に散在する小黒色素胞を有する。背縁部に小黒色素胞をもつグループは総筋節数と戯終垂直血管の位置によって4タイプ(TypeA₂~A₅)に類別される。2)体側の小黒色素胞列は2列(TypeB₁、B₂)。このグループは鰓蓋の内側と体側正中線直上部の小黒色素胞の有無によって2タイプに類別される。3)体側の小黒色素胞列は3列(TypeC₁、C₂)。このグループは体側の正中線付近の黒色素叢の有無によって2タイプに類別される。

これら9タイプはそれぞれ種に相当し、ゴテンアナゴ亜科(Bathymyrinae)に属すると考えられる。これらのうち、Type A₂、A₄、A₅、B₁、B₂は本研究によって初めて記載され、TypeA₁.A₂、A₄は北西太平洋から初記録である。また、名タイプの筋節数構成より、腹椎と尾椎の数が知られているゴテンアナゴ亜科の親魚との関連について論じた。各タイプの地理的分布図を示し、小型の幼生が採集されたタイプについては、産卵場の推定を行った。これらの幼生は主として、夜間の表層と中層(ワイヤー長、75~200m)で採集され、昼間の各層の曳網でははとんど採集されなかった。
Abstract
Ariosoma-type larvae with outer-intestine (exterilium) of the eel family Congridae from the western North and Middle Pacific are described and characterized. Nine types are recorded based on pigmentation, position of last vertical blood vessel at myomere level and number of myomeres. Five types from the western North Pacific and their relationship with the adult are discussed. None has been conclusively identified with the adult. A key is provided to the exterilium Ariosoma-type larvae known from the western North and Middle Pacific. Distribution maps showing capture locations are given for each type.