長年解決を見ない様々な都市間題によって,行政運営に対する市民の信頼が揺らいでおり,行政は政策の推進力を外部に求めざるを得ない状況になっている。このことは,行政のリスク管理に対する市民の信頼が低下していることを示すものであり,その解決策の一つとして考えられるのが,学識経験者やNPO等で構成する中間的組織である。中間的組織は信頼性の低下を防ぐ役割を担うことが期待される反面,政策の実効性の面において多くの課題を抱えている。中でも最大の課題は,中間的組織の存在が既存の政策決定機関との間で摩擦を引き起こし,この組織で導き出された結論が必ずしも現実の政策決定に生かされないことである。本稿では,中間的組鰍こよるリスク管理の必要性を述べ,広島市公共事業見直し委員会を例に, 中間的組織が抱える課題について考察する。