廣島大學經濟論叢 47 巻 3 号
2024-03-08 発行

階層組織の失敗 : Eswaran and Kotwal (1984) “The Moral Hazard of Budget-Breaking” のレビュー

The Failure of Hierarchical Organization: A Review of Eswaran and Kotwal (1984) “The Moral Hazard of Budget-Breaking”
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Abstract
 「インセンティブ・システム」の運用において均衡予算 (budget-balancing)に拘泥する限り、あるいは、また、チーム生産において外部性が存在する限り、パレート効率が達成されることはない。このとき、均衡予算制約を破る第三者をおくことで、チームのモラル・ハザードに対処することができ、そして、パーフェクト・ナッシュ均衡としてのパレート最適性を達成する契約を設計することが可能となる。しかしながら、不均衡予算を許容すると、第三者 (プリンシパル)がモラル・ハザードを引き起こす可能性を招来し、提案されたパーフェクト・ナッシュ均衡としてのパレート最適性が保証されなくなる。ところが、このとき、不均衡予算の枠組みの暗黙の前提、エージェントの制約された能力および権限をプリンシパルのそれと同等にまで許容し、しかも、一期間限りのゲームであることを緩和すると、不均衡予算の枠組みが有効的に機能する。私たちは、最終的に、不均衡予算の配分ルールに関して主張されたこれらの議論のうち、いかなる主張が組織的文脈において現実妥当性を持つのかを比較・検討する。
内容記述
研究プロジェクト(課題番号:26380462)への日本学術振興会の学術研究助成基金助成金の資金援助に深く感謝いたします。本レビューは、同研究プロジェクトの遂行にあたりなされた、一連の文献レビューの一環であり、本稿は、主として、Mukesh Eswaran and Ashok Kotwal, “The Moral Hazard of Budget-Breaking,” Rand Journal of Economics, Vol. 15, No. 4, 1984, pp. 578-581、Martin Gaynor, “The Presence of Moral Hazard in Budget Breaking,” Public Choice, Vol. 61, No. 3, 1989, pp. 261-267、Thomas H. Hammond and Gary J. Miller, “Moral Hazard in Work Organizations: A Comment on Gaynor, Eswaran and Kotwal, and Holmström,” Public Choice, Vol. 74, No. 2, 1992, pp. 245-256およびGary J. Miller, “Hidden Action in Hierachies: Principales, Agents, and Teams,” In Gary J. Miller, Managerial Dilemmas, N. Y.: Cambridge University Press, 1992, Chap. 6, pp.127-137を概括したものである。
著者キーワード
JEL classification: L2
JEL classification: P14
JEL classification: C70
JEL classification: J30
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パートナーシップ
モラル・ハザード
均衡予算
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