廣島大學經濟論叢 47 巻 1・2 号
2023-11-15 発行

固定賃金に経済合理性はないのか : Miller (1992) “Hidden Action in Hierarchies” のレビュー

Is There No Economic Rationale for Fixed Pay?: A Review of Miller (1992) “Hidden Action in Hierarchies”
全文
4.24 MB
HER_47-1-2_1.pdf
Abstract
チーム生産においては、外生的確率変数による不確実性が個人の努力の貢献を曖昧にするだけでなく、チーム・メンバー間の複雑な相互依存関係が、個々人の努力がどの程度生産に貢献しているのかを曖昧なものにしてしまう。個々のチーム・メンバー間の努力の交絡、あるいは、外生的確率変数とチーム・メンバーの努力の交絡により、仮に、誰かが不適切な行動を選択したとしても、その責任の所在が曖昧になることをいいことに、エージェントは自らの不適切な行動を隠蔽することができる。プリンシパルは、このとき、達成結果の目標値からの逸脱に対し、エージェントに相応のペナルティを科すことが難しくなるため、この管理統制の欠落に乗じ、あるエージェントは、常に、不適切な行動を選択するインセンティブを持つことになる。
Holmström(1982)
内容記述
研究プロジェクト(課題番号:26380462)への日本学術振興会の学術研究助成基金助成金の資金援助に深く感謝いたします。本レビューは、同研究プロジェクトの遂行にあたりなされた、一連の文献レビューの一環であり、本稿は、主として、Gary J. Miller, “Hidden Action in Hierarchies: Principales, Agents, and Teams,” In Gary J. Miller, Managerial Dilemmas, N.Y.: Cambridge University Press, 1992, Chapter 6 (pp.120-137) の一部を概括したものである。
著者キーワード
JEL classification: L2
JEL classification: C70
JEL classification: J30
隠された行動
リスク負担
固定賃金
インセンティブ・システム
権利情報
Copyright (c) 2023 広島大学