Gneezy and Rustichini(2000a)は、その実証研究で、外的介入(負の外在的インセンティブの導入)は内発的動機付けのクラウディング・アウトを生じさせ、さらに、また、外的介入の中断は内発的動機付けを復元させることはないことを明らかにした。しかし、彼らは、外的介入後、その水準を連続的に変化させたとき、行動(総動機付け)がどのように変化するのかについて観察することはなかった。その後、Gneezy and Rustichini(2000b)において、そのことについて詳細に観察することになる。そして、外的介入が業績(総動機付け)に及ぼす効果が単調でないことを明らかにする。すなわち、低水準の正の外在的インセンティブの導入であっても、業績の大幅な低下を招き、その後、順次、外在的インセンティブを中位水準、高水準へと上昇させると、それに比例して、より高い業績が達成されることを明らかにした。しかしながら、外的介入が存在するすべての状況で、外的介入がほぼ存在しない状況での業績を上回るものではない。すなわち、貧弱な外在的インセンティブは、外在的インセンティブが、一切、提示されなかったときより貧弱な業績しか達成されず、そして、また、十分に高い外在的インセンティブは、それが、一切、提示されなかったときより高い業績を達成することを観察している。さらに、また、彼らは、これらの実証結果に関するいくつかの説明可能な解釈を提示している。本研究ノートでは、Gneezy and Rustichini(2000b)を詳細にレビューすることで、彼らの実験結果およびその解釈をみていくことにする。そして、その上で、報酬と業績の正の関係を予測する標準的経済理論の基本仮説と報酬と業績の負の関係を許容する認知心理学の洞察をどのように融和させることができるのか考察する。