本稿のタイトルを見て,「え?」と思われた方と,「お?」と思われた方とがいらっしゃるのではなかろうか.本稿の目的は,数学的に考える資質・能力を育むという新しい学習指導要領の趣旨に沿うには,数学の授業において,入試問題を活用することがむしろ有用である可能性を指摘することである.本稿では,早稲田大学で2014年に出題された確率と数列の融合問題を題材として,入試問題に取り組む数学的活動が,教科書水準では実現し得ない,高度な数学的な見方・考え方を働かせる機会となり得ることを示し,高等学校教育の授業改善に対して大学入試が足枷になっているかのような論調に警鐘を鳴らす.