国際化という流れの中で,国際社会に生きる資質を養うことを目的として,今年度から世界史Aという科目が始められた。この世界史Aという科目の特質は,2単位という少ない授業時間数で,19・20世紀を近現代とし,ヨーロッパを中心に一体化した世界を主題的にまとめて理解させるような内容構成がされている。この世界史Aにおいて近現代は従来の世界史とそれほどの違いはないが,前近代の内容は大幅に変わった。基本的には4つの文化圏を中心に,その特質を理解することが中心となり,各文化圏の歴史的な展開過程については2世紀,8世紀,13世紀,16世紀,17・18世紀の各時代から2つを選び,補足するという程度にまで精選されている。こうした空白の多い前近代の扱いをどのようにすればよいのか。文化圏の発展過程を眺める時代の視点をどのように設定すればよいのか。こうした課題を考察することにした。