【目的】
近年,わが国ではエビデンスに基づいた望ましい医療と実際に行われている医療の格差を知るために,標準医療が実施されている度合を質指標で示し,医療の質を高めていく手法が組織を改善する上で有用であることが明らかになり始めている。そこで本研究ではNICU・GCUにおける痛みのケア向上のための一方策として,痛みのケアのモニタリング指標となるNICU・GCUにおける疼痛管理の質指標を開発することとした。
【方法】
質指標の作成にはデルファイ変法を用い,看護師と医師を含む11名からなる専門家パネル委員を選定し,指標の適切性を検討した。手順は,(1)文献検討を基にした研究者による初期指標の作成,(2)第1回目適切性評価,(3)専門家パネル会議,(4)第2回目適切性評価,(5)第3回目適切性評価であった。
【結果】
初期指標として作成した15の質指標に対する第1回目適切性評価の結果は,4項目が適切,その他は中間であった。同時に専門家パネル委員から5つの質指標の追加が提案された。専門家パネル会議では20の質指標について文言の修正を実施し新たに1つの質指標が追加された。第2回目適切性評価では21の質指標の内,13項目が適切に分類された。第3回目適切性評価では13の指標の最終的な適切性の評価と, これらの指標の内2つの指標を統合することの可否を確認した。以上のプロセスを経て,最終的に12の質指標を開発した。
【結論】
作成した12の質指標は日本の現状に即した内容であり,QIを継続的に測定することは痛みのケアに関する組織の取り組みの現状を分析する方策として有用であると考えられた。