本研究の目的は,入院が長期化しやすい疾患をもつ子どもの母親が,NICUに入院している子どもの退院を決心するまでの経験を明らかにし,NICU退院支援における看護上の示唆を得ることとした.
研究参加者は,子どもがNICUに入院中の母親8名とし,データは半構造化面接法によって収集した.面接内容は,子どもと一緒に暮らすことへの考えや思いとした.データ分析は,Colaizziの現象学的方法を参考に行った.
その結果,母親がNICUに入院した子どもの退院を決心するまでの経験は,込み上げる愛おしさ,経過への安堵,親子分離の受け入れ,出生したことの受け入れ,退院後の生活を想定した不安,退院に対する家族からの精神的支え,育児への自信獲得,家族が一緒に暮らすことへの一貫した考え,家族のあるべき姿の再認識の9テーマで表された。これらはさらに,子どもへの肯定感情,親としての納得,退院への本格的な準備,退院への確固たる意思の4テーマクラスターに集約できた.
親としての納得,退院への確固たる意思のテーマクラスターから,NICU退院支援における新たな看護上の示唆が得られた.