今日、ギリシア人の若い年齢層の語彙は非常に貧困であることがしばしば指摘されている。この現象は他の国においても見出されるが、特にギリシアにおいて顕著であり、その原因として、以下のものが考えられる。
1)二十年ほど前まで使用されていた文語(カサレヴサ)に、今日の若者は慣れ親しんでいない点。
2)外国人観光客(特に英語話者)との頻繁な接触。外国で教育を受ける若者が多い点。
3)略語・頭字語の増加。(これらのもとになるカサレヴサの語彙は習得されないままである)。
4)かつてのカサレヴサのような、模範となるべき文体が、家庭でも、学校教育においても存在せず、子供達がラジオ・テレビ・漫画の文体に強く影響されている点。
語彙的貧困の具体的な例として、挨拶の表現が挙げられる。χαίρετε、καλημέρα (σας)、γειά (σον/σας)、άντίο、と豊富であった表現形式が、今日若い世代においては三つ目の形式のみに限られてしまっている。