目的: 地域高齢者の健康長寿への意識向上が生活習慣や保健行動などにどのように関連しているのかを明らかにするために, 「健康で長生きしたいと思うこと」とライフスタイル, 主観的項目, 保健・受療行動, 行政に対する関心との関連性について検討することである.
方法: 2003年7月中旬〜11月中旬に, 広島県M町と山口県A町に住む60〜75歳までの国民健康保険に加入している高齢者それぞれ818人, 1,753人を対象に, 質問紙調査を行った. 解析方法は「健康で長生きしたいか」と, 基本属性, ライフスタイル, 主観的項目, 保健・受療行動, 行政に対する関心, とχ2検定(p<0.05)を行った. その結果, 有意差(p<0.05)があった変数との関連を説明するために, 二項ロジスティック回帰分析を実施した.
結果: 「健康で長生きしたいか」では, 「強く思う」「まあまあ思う」を合わせると1,312人(78.9%)で, 「あまり思わない」「思わない」を合わせると350人(21.1%)だった. 「健康で長生きしたい」と「思う」高齢者は体力に恵まれたいと思わない者より恵まれたいと思う者がオッズ比18.9と高く, 朝食をとらない者より朝食をとる者の方がオッズ比4.5と高く, 健康・体力づくり施策が重要でないと思う者より重要であると思う者の方がオッズ比3.5と高いなど, 生活習慣や保健行動に気をつけた生活ができていることが明らかとなった.
結論: 効果的な保健活動をするためには, 地域高齢者が「健康で長生きしたい」と「思う」意識を高く持つように働きかけることが有効であることが示唆された.