わが国の糖尿病患者の療養指導体制を明らかにする目的で実態調査を行った. 対象は日本糖尿病学会に所属する臨床業務に携わる医師で, 3,000名に調査票を郵送し605名(回収率20.2%)から回答を得た. 調査内容は医療の質に関し, 構造指標として病床規模や専門外来・スタッフの配置を, プロセス指標としてアセスメントや治療, 患者・家族教育の内容及びフォローアップシステムを, アウトカム指標として診療の評価指標を選定した. 結果, 回答者の約3割の医療施設で専門外来や専門スタッフの配置をしており, 食事・運動などの生活指導以外に行動変容教育や心理・社会的支援が実施され, それは専門医やCDE配置の有無や病床規模の大きさと有意に関連し, 専門スタッフの配置があり, 病床規模が大きい方が実施割合が高くなっていた. 診療のアウトカム評価は治療成績を反映する検査データ(HbA1c)で行われていた. 糖尿病患者の療養指導の質の確保には専門スタッフの配置の重要性が明らかになったが, 病床規模の大きい病院に偏在していることから, 今後は診療所や小規模病院の専門外来の増設やスタッフの充実に加え, 専門スタッフをもつ大病院と地域とのネットワークの構築が課題である.