本研究は,2型糖尿病患者を高血圧合併の有無により分類し,運動筋酸素動態の差異を明らかにすることを目的とした.運動は,最大随意筋力の30%の強度にて3分30秒間の足関節底屈運動を行い,終了直前30秒間に一時的動脈血流遮断法を併用して,筋酸素利用変化率(%MO2)を算出し,運動終了後の筋酸素化レベル回復時間(TR)を測定した.その結果,高血圧合併2型糖尿病患者は,ヘモグロビンA1cおよび上腕動脈-足動脈間脈波伝播速度(baPWV)が有意に高値を示し(p<0.05),%MO2 に有意差は認められなかった.またTRは有意に延長し(p<0.05),baPWVとTRには有意な正の相関関係を認めた(r=0.58,p<0.05).以上のことから,高血圧合併2型糖尿病患者では,高血圧を合併しない糖尿病患者と比較して,中等度運動での筋酸素化レベルに差異は認められないが,動脈硬化により酸素供給が低下した結果,TRが延長することが明らかとなった.