糖尿病患者と健常者のR-R間隔変動係数(CVR-R)と運動時における循環応答との関連を検討した。対象は2型糖尿病患者8名と,年齢をマッチさせた健常男性8名とした。対象者に自転車エルゴメータを用いた漸増負荷を行い,最大酸素摂取量(・VO2max)と換気性作業閾値(VT)を算出した。次に日を改めて,80%VTに相当する負荷強度で一定負荷運動を行わせた。その後,安静時におけるCVR-Rと,一定負荷運動における酸素摂取と心拍数の時定数を算出した。その結果,1)CVR-Rと・VO2maxはDM群で健常群と比較して低下していた。また,tau HRとtau・VO2はDM群で延長していた。2)tau・VO2とtau HRは二群共に正の相関を,CVR-Rとtau ・VO2は二群共に負の相関を認めた。2・VO2maxとtau HR,・VO2maxとtau・VO2は健常群のみ負の相関を認めた。以上の結果から,CVR-Rは運動に対する循環応答を反映する指標になる可能性が示唆された。また,先行研究において,健常者では運動開始時における循環応答特性は全身持久力を反映するものであることが示唆されているが,本研究では糖尿病患者においては関連を認めないことが明らかとなった。