1) 130℃で瞬間加熱することにより,滅菌脱脂乳を調製した。試科Iは30℃で,試料IIは5℃で貯蔵した。1月毎に10月間,相対粘度,不安定化カゼイン量,可溶性カゼイン量,非蛋白態窒素量および超遠心上澄液中のカルシウムと無機リン量を調べた。
2) 試料IIの相対粘度は貯蔵中著しく増加したが,試料Iの粘度増加は小さかった。
3) 試料Iでは貯蔵5月後に,試料IIでは貯蔵8月後にホエーの分離が認められた。
4) 貯蔵中の非蛋白態窒素の増加は,試料Iより試料IIの方が少なかった。
5) 超遠心上澄液中のカルシウム量は,試料Iでは貯蔵中減少したが,試料IIではほとんど減少しなかった。
6) これらの結果から,低温貯蔵により起きるカゼイン複化合物の不安定化と室温貯蔵の場合のそれとでは,その機構が異なるものと推察された。