各種の食品乾燥装置を設計し,制御化などを行なっていくためには,簡単な乾燥モデルに基づいた乾燥速度式を設定し,それに含まれる速度パラメータを求めていくことが必要である。
既報7)において,殻状乾燥モデルに基づく乾燥速度式の設定について報告してきた。本報は,均一乾燥モデルに基づく乾燥速度式を設定する研究を行ない,寒天,にんじんならびに炊飯米を例として速度パラメータを算出して,両乾燥モデルの適用性について検討したものである。
均一乾燥モデルに基づく乾燥速度式として,乾燥表面積を簡単な近似式で仮定して表わした場合と,それが未消失含水量のべき乗で関係づけられるとした場合とを仮定した。両者の計算結果はよく似た結果になり,乾燥装置の設計などに対しては簡単なだけ後者が有用と考えられた。乾燥速度は,寒天とにんじんでは,未消失含水量のほぼ0.5乗に,炊飯米ではほぼ1.0乗に比例する結果が得られ,乾燥速度式におけ未消失含水量のべき乗値は試料により著しく異なる結果になることが分った。
既報の殻状乾燥モデルと本報に示した均一乾燥モデルによる計算結果を比較した結果,寒天およびにんじんでは大変よく似た結果が得られた。乾燥機構が明確でなく,よく似た結果が得られる場合には,取り扱いが簡単となる後者が有用と考えられる。