従来不可能視されていた不純物質の多い木材加水分解糖液は,糖液のD.E.が90%以上であれば,煎糖方式によって連続的に結晶が可能であり,複塩結晶の収率は80%に達した.工場規模では実験室試験よりも晶出時間を延長した理由もあって更によい結果を示した.
また,従来の複塩分解によるブドウ糖結晶中の食塩残存率は0.6-0.8%と多く,商品価値として難点となっていたが,使用水量,シード粒径,投入方法などの分散分析により,食塩残存率を0.05%以下にする管理方法を決定した.実験室試験における誤差変動は,工業装置では少ないという結果を得ている.複塩法による不純物質の多い糖液の結晶は直接法に比して,その製品性状と収率がかなりよい結果であった.