著者らは既に,牛乳カルシウムの利用性が高いことの理由のひとつに,小腸管内に生成するカゼインホスホペプチドが考えられることを指摘した.その機構を知る第一歩として本研究では,カゼイン摂取マウスの小腸管内容物からホスホペプチドを単離し,アミノ酸組成を調べた.
マウスには体重130~200gの雄ウイスター種を用い,β-カゼインもしくはHammarstenカゼインを含む飼料をspace-feedingし,その腸内容物からホスホペプチドを分離した.ホスホペプチドの単離並びに精製はゲル泳過法およびDowex50イナン交換クロマトグラフィーによった.またアミノ酸組成は,ホスホペプチドの加水分解物について日立アミノ酸自動分析器034型によって分析した.
単離したホスホペプチドは,グルタミン酸とホスホセリンが多く,これらがCa結合性残基となる可能性が考えられた.またN/P比は,トリプシン消化ペプチドについての文献値に近似していた.