1. アメリカザリガニ甲殻のカロチノイドを薄層およびカラムクロマトグラフィーで分離同定した結果,主成分はアスタキサンチンエステル,アスタキサンチンおよびアスタシンであった.
2. 青,紫および赤色の三種のカロチノプロテインの補欠分子族はアスタキサンチンを主成分とし,それぞれのカロチノイド組成に差は認められなかった.
3. アスタキサンチンは頭胸部,尾部および尾柄部など青い部分の甲殻に比較的多く含まれる.しかし,鋏脚の濃青色部と鮮赤色部の甲殼のカロチノイド組成に殆ど差は認められなかった.
4. 甲殻の赤い色は主として非結合型カロチノイドの色により,甲殻の青い色は非結合型カロチノイドの他に青および紫色カロチノプロテインが比較的多く存在する為と考えられる.甲殼の色が成長と共に赤味を増すのは非結合型カロチノイドがカロチノプロテインと置換して沈着する為と考える.