各種食品を加熱処理するクッキング装置などの設計をするためには、各種食品の熱拡散率を求めておくことが必要となる。前報において、球状1)、平板状2)、ならびにゲル状3)食品の熱拡散率の測定に関する研究を行ってきた。 本報では、直方体と円柱状食品の熱拡散率の測定に関する研究をジャガイモを例として行った。ジャガイモの熱拡散率の値は、温度10~50℃において0.0840c㎡/minとなった。平板状食品では、熱電対の先端を試料の中心部に挿入するときの誤差が大きいため、本報で得られた値は、前報2)で求めた0.08c㎡/minよりも良い結果である。また熱電対からの伝熱による誤差を無視できるようにするために発砲スチレンを取りつけたが、この場合には、半無限角柱、半無限円柱状を仮定する計算がよいなどの結果が得られた。熱拡散率の概算値を得るのに便利な中心温度変化曲線を、前報1)2)と同様にして、直方体と円柱状試料とに対しても示したが、本報で示した非線形最小二乗法12)を用いて電子計算機を利用して熱拡散率を算出する方法が精度がよい値が得られることなどから最も優れている方法といえる。