広島大学大学院文学研究科論集 78 巻
2018-12-25 発行

Les « tics de langage » ont-ils leur place dans l’enseignement du français oral ?

フランス語のオーラル・コミュニケーション教育において「口癖」は利用できるか?
全文
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HUStudGradSchLett_78_57.pdf
Abstract
⦅言葉の癖⦆は、何よりも表現上の欠点とみなされていることから、「外国語としてのフランス語」の学習者には決して教えられることはない。しかし、語用論的な観点に立てば、こうした⦅口癖⦆の背後に隠された表現の中には、それを何度も繰り返して使うのでなければ、フランス語を学ぶ外国人の中でも特に日本人学習者にとっては、会話にとても役立つ可能性のあるものが含まれている。
第一の理由は、フランス人が頻繁に用いるこの種の表現により、文章を発するときに(たとえば必要な語を探すために)生まれうる数多くの沈黙を効果的に減らし、それにより会話を一層なめらかで自然なものにすることができる点である(沈黙の意味は日仏2つの文化では同じではないからである)。第二の理由は、この種の表現には統辞上自律しているという特徴があるため、フランス語を学ぶ外国人にとって自発的に使うのがとりわけ簡単だという点である。
もちろんこの種の表現すべてに同じ価値や同じ⦅品格⦆(言語のレベル)があるわけではない。初級フランス語の学習者のためには、使いやすさや多くの様々な状況への適応性という明確な基準に従って、3つか4つの表現のみを選ぶ必要がある。
本稿では実例として《en fait》という表現を取り上げる。この表現は返答の最初に置かれることが多いが特に意味はなく、よく考えて返答を一層⦅フランス的に⦆するための時間を与えてくれる。もちろんこの表現を使いすぎて、改めて相手をいらいらさせるような⦅口癖⦆になってしまうことのないよう注意する必要がある。
著者キーワード
FLE au Japon
communication orale
tics de langage
marqueur de discours
naturel