本稿は,災害時に災害弱者と呼ばれる要配慮者の避難行動と避難実態及び被災後の生活支援のかかわりについて焦点をあて,要配慮者の避難行動の特徴と被災時における影響と課題を考察した。発災から生活再建に至るまでの階層構造の図式化を試み,要配慮者が被災時に辿った経路の具体例を用い分析を行った。そのうち被災後の要配慮者に影響を及ぼす4つのメカニズムが内在していることを指摘した。災害時には特に情報,行動,生活,健康の影響が連鎖して進行すること,そしてその過程において不具合が併発し課題を生み出している。そこへ心理的影響や地域の特性の背景が加わり,絡みあいながら課題を加速や複雑化させている法則性を提示した。