廣島大學經濟論叢 45 巻 1-2 号
2021-11-10 発行

非ガウス型構造VARモデルによる日本の金融政策の実証分析

Empilical analysis of Japan's quantitative easing monetary policy: under non-Gaussian SVAR model
中西 正
全文
1.47 MB
HER_45-1-2_113.pdf
Abstract
本稿は、日本銀行が2013年から実施している量的・質的金融緩和の効果を分析するために、非正規構造VARモデルを用いて検証を行った。一般的な構造VARモデルを用いた分析は、構造誤差項が正規分布であるという仮定のもとで推定を行うが、筆者がこれまで分析に使ってきた多くのマクロ経済・金融変数に基づく構造VARモデルにおいては誤差項が正規分布ではなく非正規分布に従うという結果を得た。しかしながら、構造誤差項がどのような非正規分布に従っているのかを発見することは難しく、本論文における構造誤差項は、幅広い非正規分布に対応することが知られているt分布を仮定して推定を行った。分析の結果から、量的・質的金融緩和政策の導入以前と以後の効果をインパルス応答関数で確認したところ、日本銀行が設定した2 %のインフレ目標を達成するほどの効果は確認できなかった。
内容記述
本稿は、2021年開催の4th International Conference on Econometrics and Statistics(EcoSta2021)における『Recent development of VAR and SVAR model』において報告された“Application of non-Gaussian SVAR model to the analysis of Japans quantitative easing monetary policy”(T. Nakanishi, K. Maekawa, and T. Senda)の内容を、共著者らの了解を得て、中西が加筆、再構成したものである。
権利情報
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