中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 55 巻
2015-03-20 発行

骨盤から姿勢を考える授業 : 首はね跳びへのアプローチ <第2部 教科研究>

足立 達也
岩部 順
全文
5.02 MB
Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_55_219.pdf
Abstract
体育授業における生徒の動きを観察すると,骨盤が後傾したまま動かすことができなかったり,肩甲骨周りも固まってきていたりするような状況が多々見受けられる。そこで,まず,骨盤の活性化を中心にした体つくりを取り入れて, 日頃の姿勢の見直しを図り,身体の使い方を考えさせることから始めた。これらの学習を基盤とし,その後の跳び箱運動(首はね跳び)にチャレンジする過程においても,準備運動などで骨盤から脊柱に連動する動きづくりから身体のしなやかさの向上を図り,自身の身体とじっくりと向き合い,その変化を感じながら取り組めるようにした。また,お互いの関わり合いを感じながら活動できるように,仲間同士の補助やアドバイス場面を多く設定した。このような場面設定や段階的な指導を丁寧に仕組み,「もう少しでできる」と思えるような体験を繰り返し味わわせることを大切にしながら技の習得に取り組ませ,中学1年生女子生徒にとっては難易度が高いと思われる「首はね跳び」に,みんなが安心してチャレンジできるような授業展開を工夫した。その結果,生徒は日常における自己の姿勢の状態について意識を高め,その改善を図りながら,授業中の運動場面へのつながりも考えるようになり,難易度の高い技に仲間とともに積極的にチャレンジすることができた。