日本学校健康会京都府支部に, 中学校および高等学校(全日制)から報告された災害報告書を調査資料として, 昭和59年度中に発生した災害で, 死亡事故を除く11574件の傷害について, ①傷害の種類, ②受傷部位, ③発生場所, ④発生時状況, ⑤性の各要因を調査し, 学校管理下における中学生および高校生の脱臼捻挫の発生状況を検討した。
1) 傷害発生数に占める脱臼捻挫の割合は, 中学校では男子が20.0%, 女子が36.1%, 高等学校では男女それぞれ27.9%, 43.8%で, 中, 高等学校とも女子の方が高い値を示した。
2) 各受傷部位における傷害発生数に占める脱臼捻挫の割合は, 中, 高等学校男女とも下肢が最も高い値を示し, 中学校男子以外の3集団では50%以上を示した。各発生場所では, 中, 高等学校の男女とも体育館が最も高い値を示し, 各発生時状況では, 体育授業時が最も高い値を示した。
3) 対数線形分析の結果, 学校種別の対数線形モデルには, 5つの単要因効果項の他に, 中学校では10項の二因子交互項と6項の三因子交互作用項が, 高等学校では9項と5項の二因子, 三因子交互作用項がそれぞれ採用された。すなわち, 中, 高等学校とも, 脱臼捻挫の割合は受傷部位, 発生場所, 発生時状況および性によつて相違するが, さらに, 各発生場所の脱臼捻挫の割合の相違の様相は, 受傷部位および発生時状況によつて, さらにまた, 中学校では各受傷部位の脱臼捻挫の割合の相違の様相は発生時状況によつて相違していることが認められた。
4) 脱臼捻挫の発生比が最も大きい場合は, 中学校では, 登下校時に下肢に発生する場合で, 高等学校では, 校舎内で下肢に発生する場合であった。中学校, 高等学校とも, 脱臼捻挫の発生比上位5位までの条件には, 下肢要因が関連する場合が多く認められた。
5) 期待頻度が最も大きい場合は, 中学校ではクラブ活動中に下肢に発生する場合, 高等学校では体育館でのクラブ活動中に発生する場合であった。