本研究は, 昭和61年度全国高校春季選抜合宿に参加した長距離男子ランナー28名を対象に, トレーニング強度, 筋痛および筋疲労感と血清CPK活性値との関係を検討したものである。結果は, 以下に要約することができる。
(1) 今回の合宿練習では, 比較的軽いトレーニングであったが走行距離は長く, ほぼ全例で血清CPK活性値は著明に上昇(P<0.001)し, 筋疲労が如実に示された。
(2) 血清GOT, GPT, LDH等の活性値も, 有意に上昇したが, 血清CPK活性値ほど大きな上昇は示さなかった。
(3) 同一トレーニング量においては, パフォーマンスの低いランナー(B群)の血清CPK活性値は高値を示し, パフォーマンスと血清CPK活性値との間に有意(P<0.01)な相関関係が認められた。
(4) 血清CPK活性値は, 主観的なトレーニング強度に比例して上昇した。すなわち, トレーニング強度が高かったと感じたランナーは, 低かったと感じたランナーより高い血清CPK活性値を示した。
(5) トレーニング過程において, 血清CPK活性値の動向を知ることは, コンディショニングの一つの指標になり得ると考えられる。