大学生の男子陸上競技選手(20名)と男子水泳選手(16名)の有酸素性作業能力ならびに等速性筋力の測定を行い, 陸上と水泳トレーニングの影響を検討した。その結果, 以下のことが明らかになった。
1) 陸上競技, 競泳の両グループとも身長, 体重, 体脂肪率には差が見られなかった。
2) 最大換気量, 最大酸素摂取量, 体重当りの最大酸素摂取量については, 両グループに差は認められなかった。また, これらは同年代の一般男子の値との差も見られなかった。しかし, 日本の一流ランナー, スイマーに比べて40~50%小さな値となり, 一流選手と体力面でかなりの差異があることが認められた。
3) 陸上競技選手を短距離選手と中長距離選手に分けて比べると, 最大換気量, 最大酸素摂取量, 体重当りの最大酸素摂取量はいずれも中長距離選手で有意に大きな値が得られた。
4) 陸上中長距離選手は, 競技経験年数の長い選手ほど体重当りの最大酸素摂取量が大きい傾向が認められた。
5) 等速性筋力については, 陸上競技選手, 水泳選手の間には差は認められなかった。
6) 陸上競技の短距離選手は高速度での等速性筋力に優れていた。
7) 競技経験年数が長いと高速度での等速性筋力が大きくなる傾向があり, 特に陸上短距離選手で顕著であった。