本研究では, 知覚機構, 意思決定機構における情報処理過程に基づいて構成された課題が, バスケットボールの運動スキル習得に対してどのような有効性をもつかを明らかにする目的で, 大学生女子に, 情報源, 手がかり, 行為から構成された課題とフォーメーションプレー遂行課題とを与えて比較した。その結果, 3対2での攻撃に関する学習においては, 情報源, 手がかり, 行為の内容を明示した課題は, 攻撃対防御の相対的力関係を攻撃側に有利に転換させ, 攻撃の成功を多くすることが明らかとなった。
またこのとき, ディフェンスプレーに関する環境のできごとを知覚し, これに基づいてオフェンス側の行為を決定しようとしていることが示唆された。
すなわち, 情報源, 手がかり, 手がかりに対する正しい行為から構成された課題は, バスケットボールの3対2での攻撃に関する学習では, 知覚過程, 意思決定過程における情報処理を促進し, 従来よく用いられているフォーメーションプレー遂行課題よりはスキルの習得に有効であると言える。