某企業の陸上競技部の長距離選手男子25名を対象として, 等速性筋力と5000mの競技成績との関連性を, 1.Aグループ(5000mのタイムが14分30秒より良いもの), 2.Bグループ(5000mのタイムが14分30秒より悪いもの), 3.Cグループ(5000mのタイムの上位5名), 4.Dグループ(5000mのタイムの下位5名)について検討し, つぎの成績を得た。
(1) ピークトルクは, AグループがBグループに比ぺて劣る傾向を示したが, 2者グループ間には有意な差はみられなかった。%ピークトルクでは, A, B各グループ間で殆んど差は見られなかった。
(2) CグループとDグループ間のピークトルクは, CグループはDグループよりも劣る傾向が見られたが, %ピークトルクでは, CグループがDグループよりすぐれている傾向を示した。いずれの場合にも有意な差はみられなかった。
(3) Aグループの最大酸素摂取量は3.6l/分であり, Bグループのそれは3.8l/分を示し, BグループはAグループより多い傾向を示したが, 有意な差はみられなかった。
(4) Cグループの最大酸素摂取量は3.3l/分であり, Dグループのそれは3.7l/分を示し, DグループはCグループよりも多い傾向を示したが, 有意な差はみとめられなかった。
(5) Aグループの年令, 競技経験年数は, それぞれ23.2才, 9.5年であり, Bグループのそれらは, 19.9才, 6.4年を示し, AとB各グループの間では, 年令では5%水準, 競技経験年数では1%水準で有意な差がみられた。
(6) Cグループの年令, 競技経験年数は, それぞれ24.3才, 9.6年であり, Dグループのそれらは19.4才, 5.4年であり, CとD各グループの間で, 年令では5%水準, 競技経験年数では1%水準で有意な差がみとめられた。
(7) 年令と5000mの最高タイムとの間の回帰直線はY=-5.06X+988.22, そして競技経験年数と5000mの最高タイムとの間のそれはY=-3.38X+905.21であった。