(問題・目的) 文部省(1993)は、ろう教育の現場では「国語に対応した」手話を用いる必要があるとしている。しかし、実際に聴覚障害者が使用している手話には日本語にとらわれない手話独自の特徴を有しており、筆者はその特徴をろう教育に活用する効果があると考える。先行研究により手話の特徴が挙げられているが、実際に聴覚障害者が一般的に使用している確証を得ていないものがある。そのため、本研究の目的として、手話の特徴を聴覚障害者が一般に使用しているかを確認することとした。
(方法) 14名の聴覚障害者の協力を得て、手話表現の収集・分析を行った。
(結果) 先行研究の挙げる45の特徴の内、36の特徴を確認することができた。
(考察) 手話表現の題材が限定的な場面なため、全ての特徴を見いだすことができなかった。しかし、日本語にはとらわれない手話特有の表現方法をはじめ、様々な特徴を確認できた。本研究により、手話の特徴をろう教育に活かす効果の可能性を示すことができたと考える。