保育器収容児を管理する際には,呼吸抑制が起こりにくいことや胃残乳量が少ないことなどの利点から腹臥位で保育されることが多く,採尿を行う場合に必要量の検体を採取できないことが少なくない。また,発赤などの皮膚トラブルを伴うこともある。本研究では,スポンジを用いて採尿バッグ内に空間を設ける新たな採尿方法(B法)を考案し,その有用性について従来の方法(A法)と比較検討した。その結果,B法はA法に比べて男児・女児ともに有意(男児・女児ともP<0.05)に高い採尿率を示した。尿もれの原因については,ほとんどの症例が採尿バッグの剥がれやズレによるものであったが,B法はA法に比べて尿もれが有意(P<0.01)に少なく,さらに採尿バッグのズレを容易に直すことが可能であり,このことが採尿率の上昇につながったと考えられた。また,B法では採尿バッグ内に空間を設けているので,尿が採尿バッグの底に流れにくい場合でも,A法に比べて尿が溜まりやすく,腹臥位でも高い採尿率が得られたものと思われた。B法において,発赤などの皮膚トラブルが1例もみられなかったことから,スポンジの使用は皮膚の発赤予防に効果があったといえる。今後は,採尿バッグの固定方法と尿が採尿バッグの底ヘスムーズに流れて溜まるような工夫をB法に加えるとともに,より低体重児に対する有用性を検討したい。