態度帰属における対応推論の促進・抑制要因の検討 : 日本語の一人称代名詞と正確な判断の教示に注目して

実験社会心理学研究 47 巻 2 号 105-117 頁 2008-03-05 発行
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タイトル ( jpn )
態度帰属における対応推論の促進・抑制要因の検討 : 日本語の一人称代名詞と正確な判断の教示に注目して
タイトル ( eng )
Enhancement and suppression of correspondence inference in attitude attribution : Focusing on the effect of first person pronouns and instructions for accurate judgment
作成者
角野 充奈
浦 光博
収録物名
実験社会心理学研究
47
2
開始ページ 105
終了ページ 117
抄録
人々には,他者の言動に対応した属性を推論する傾向があり(対応推論),その傾向は,他者の言動が社会的に拘束されていると知っていても生じることが明らかにされている(対応バイアス)。対応バイアスは,容易には消失しないことから,非常に強固な現象であると捉えられているが,それゆえに,対応バイアスやその基礎となる対応推論を促進・抑制させる要因について検討した研究も存在する。本研究では,日本語における一人称代名詞「私」が明示,もしくは,省略された文章が,対応推論に及ぼす効果について,2つの研究で検討を行なった。研究1では,Jones & Harris(1967)の態度帰属の実験方法を踏襲し,書き手が立場を選択できない状況で書いた,日本語の一人称代名詞が明示された文章を読んだ場合に,省略された文章を読んだ場合よりも,対応推論が促進されることが示唆された。研究2では,日本語の一人称代名詞の有無に加え,書き手の真の態度を正確に判断するよう実験参加者に教示するか否かを状況操作して検討を行なった。その結果,正確な判断をするよう教示されずに一人称代名詞のある文章を読んだ場合に,最も対応推論が促進されることが示唆された。文化的背景に基づく要因と対応バイアスや対応推論との関連性,および,今後の研究の課題について考察した。
People have a tendency to infer attributes corresponding to the behavior of others (correspondence inference). This tendency has also been observed even if the behavior of others is socially restrained (correspondence bias). In this study, we examined the effect that inclusion or omission of the Japanese first person pronoun "I" had on correspondence inference. Study 1 indicated that correspondence inference was more pronounced when participants believed that an essay which included first person pronouns was written by a target person in the no-choice situation, relative to that without first person pronouns. Study 2 found that the greatest influence of correspondence inference occurred when participants who read an essay that included first person pronouns were not instructed to accurately judge the true attitude of a target person. Implications of cultural context-based factors and issues for future research were discussed.
著者キーワード
対応推論
態度帰属
対応バイアス
日本語の一人称代名詞
正確な判断の教示
correspondent inference
attitude attribution
correspondence bias
first person pronoun in Japanese
instruction of accurate judgment
NDC分類
心理学 [ 140 ]
言語
日本語
資源タイプ 学術雑誌論文
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
発行日 2008-03-05
権利情報
Copyright (c) 2008 日本グループ・ダイナミックス学会
出版タイプ Version of Record(出版社版。早期公開を含む)
アクセス権 オープンアクセス
収録物識別子
[ISSN] 0387-7973
[DOI] 10.2130/jjesp.47.105
[NCID] AN00104794
[DOI] http://dx.doi.org/10.2130/jjesp.47.105