広島大学心理学研究 Issue 2
published_at 2003-03-28

自己評価と高齢者像との関連

The correlation between perceived-aged person and self-evaluation
Shibasaki Yoshinori
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Abstract
マズロー(1987)は,自己を尊重している人間の知覚は歪曲されることは比較的少ないが,そうでない人間の知覚は願望や希望により歪曲されると考えている.本研究の目的は,自己評価が知覚に及ぼす影響について検討することであった.専門学校生(N=73)に自己評価尺度(溝上1999)および高齢者像の評定を求めた.自己評価の高低によって被験者をグループ化し,群間に高齢者像にちがいがみられるか検討した.結果,自己基準による自己評価と高齢者像との間には関連がみられなかった.しかしながら,社会基準による自己評価と高齢者像との間には関連がみられ 自己の長所を高く評価し短所を低く評価する被験者は,長所・短所ともに低く評価する被験者よりも高齢者を「小さい」ものとしてとらえることがわかった.また,自己の長所を高く評価し短所を低く評価する被験者は,長所を低く評価し短所を高く評価する被験者に比べて,高齢者を「やさしい」ものとしてとらえることがわかった.これらの結果は,自己評価がものの知覚に影響を及ばすことを示唆する結果である.
Keywords
aged person image
Self-evaluation
perception
Rights
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