本研究では高齢者における視機能を調査するとともに, 視機能を向上させるビジュアルトレーニング(VisualTraining: VT)の効果を検討した. 視機能調査の対象は運転免許センター来所者および交通安全講習参加者である高齢者43名, 健常大学生62名とし, 視機能としてKinetic Visual Acuity (KVA), Dynamic Visual Acuity (DVA), Eye/Hand coordination (E/H), Contrast Sensitivity (CS)を測定した. 高齢者に対しては個人的要因を聴取し, 要因有群と無群に分類した. また, デイケア利用高齢者24名をVT実施群(12名)・非VT実施群(12名)に無作為に分類し, KVA, DVA, E/HのVT効果を検討した. その結果, 高齢者の全ての視機能は若年者と比べ有意に低下していた. また, 運転習慣有群は無群に比べ, KVAが有意に高値を示した. VT実施群においては, KVAが有意に改善したが, DVA, E/Hは変化しなかった. 以上の結果から, 加齢に伴い視機能は低下するものの, KVAは運転習慣やVTにより維持・改善されることが示唆された.