日本作業療法学会の文献を対象とし,福祉用具による作業療法アプローチの実態を検討した.その結果,作業療法士によって提供された福祉用具には入浴用具,排泄用具のみならず移動用具,コミュニケーション用具も含まれていた.福祉用具の製作は5割強を占めていた.それらの中で効果があったとする文献では,計画の策定,評価,是正のマネジメントが7割で行われていた.シミュレーションの実施が7割,クライエントの満足度は9割であった.他の職種との連携は,9割の割合で連携がとれていた.これに対して,作業療法士同士との連携の割合は2割程度であった.フォローアップの実施状況は1割程度であった.作業療法士の情報通信技術(IT)の活用状況は1割であった.福祉用具に対する安全性の配慮は1割で,福祉用具の製作における製造物責任法への対処は僅かしかなかった.