脳外傷者の就業状況や脳外傷者の就業を促進する要因と妨げとなる要因を明らかにし,今後の就業援助のための示唆を得ることを目的に,韓国の地域職業リハビリテーションセンターに過去約5年間(1995~2000)求職相談に訪れた障害者,1542名のうち65名を脳外傷と同定し,その就業状況を公式記録から得て分析した.65名のうち,初回求職相談後2000年8月の調査時点までに一度でも就業を経験した者は36名であった.調査時点に就業中であった者は25名で,そのうち事業所に就業して1年以上勤続していた者は6名のみであった.求職相談後の就業にプラスに働いた要因は,居住地域がセンターの近隣または都市部であったこと,受傷後求職相談に訪れるまでの間に何らかの教育・職業訓練経験,就業経験があったこと,及び,求職相談時に就業斡旋と判定され,実際にセンターの就業斡旋を受けたことであった.また,勤続にプラスに働いた要因には障害が軽度で,障害受容ができたこと,家族,会社,職業リハビリテーション機関からのサポートがあったことで,マイナス要因には,本人の身体的・精神的能力の問題,作業の不適合性,会社内の対人関係の問題や物理的・制度的環境の不備,経済状況などがあった.