基礎看護学実習の学習効果並びに学生の経年的変化を把握する目的で,基礎看護学実習前後に履修学生406 名を対象に質問紙調査を行った.質問紙の構成は学習に関する7項目と意識・感性の計8項目とした.実習は2001 ~2007 年に毎年実施し,実施期間を3期(Ⅰ期:2001~2003 年,Ⅱ期:2004~2005 年,Ⅲ期:2006~2007 年)に分けて学習効果を比較した.その結果,対象者数は329 名となり,全項目において実習前よりも実習後に得点の有意な上昇を認め,実習によるプラスの効果が確認された.また,実習前の「意識・感性」得点はⅠ期よりⅢ期が有意に低かったものの,実習後には差を認めなかったことから,Ⅲ期の学生らは看護師を目指す意識の低い者が多く,かつ自信のない者も多い傾向が示唆された.一方で,実習後には「自信の持てる心境」へと変化しており,実習指導体制の整備が一因と考えられた.今後,実習指導の効果を更に高めるためには,指導者の質の向上とともに量的な確保が必要であると考えられた.