軽症脳梗塞患者の自己管理の実態と臨床指標の関係を明らかにすることを目的とし,80歳未満のmodified Rankin Scale (mRS) 0~3の軽症脳梗塞患者122名に対して他記式構成的質問紙を用いた個別面接を行った.
降圧薬を内服している患者で,血圧測定習慣がある患者は測定習慣がない患者に比べ,収縮期血圧が低い傾向にあった.糖尿病や脂質異常症の指摘を受けている患者では,血圧測定が習慣化されていなかった.食事療法については,習慣化されている患者が全体の半数以下で臨床指標に差はなかった.運動習慣のある患者では習慣のない患者と比較して,収縮期血圧,LDLコレステロールが有意に低値であった.自己管理行動が習慣化している患者の方が,臨床指標も望ましい値を示していた.しかし,診療ガイドラインに沿った治療がなされていない患者も存在していたため,かかりつけ医への診療ガイドラインに沿った治療情報の提供,患者への疾患の知識やセルフマネジメントに関する知識の提供および自己管理行動の継続に向けた患者への支援の重要性が示唆された.