漏斗を通して餌をとるように条件附けられたコイを用い,漏斗に対する“つつき行動”(snapping)を解発する要因を解析して,次の結果を得た.
(1) つつき行動は,漏斗の設置,水槽水(対照水)又は餌の浸漬濾液(エキス液)の流入により解発される.
(2) 漏斗の設置又は対照水の流入に対して魚が行なうつつき行動は,定った給餌時刻の50分乃至1時間40分の間に著しく活発となり,給餌後は急激に低下する.然し,摂餌してから4乃至7時間たつと,つつき行動は再び活発となる.
(3) 設置された漏斗に対するつつき行動の頻度は低く,0.06回/分/個体である.漏斗に対照水を流すとつつき行動の頻度は0.26回/分/個体高まり,エキス液を流すと,更に1.17回/分/個体高まる,
(4) つつき行動の頻度を比較することにより,魚の索餌行動を解発する刺戟信号が解析出来る.