鶏卵の卵黄膜の立体的構造が,光顕と走査電顕によって観察された.卵黄膜は,生の薄膜標本では光顕的に観察が困難なものであるが,これを炭酸リチウム液に浸漬すると,粘液物質が除去され,普通の染色で充分観察されるようになった.この方法によって調べた卵黄膜の光顕と走査電子鏡検像が示された.
卵黄膜は内と外の2層の線維膜構造であった.内層はテープ状の薄い線維の交織から成る線維膜であり,外層は細線維から成る線維網であった.外層の表面には,太い線維束と粘液物質から成るカラザ層が存在していた.カラザ層は多量の粘液物質を加えながらカラザに移行した.カラザは走査電顕では,ゲル物質の凝塊として示された.