中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 Volume 36
published_at 1996-03-11

地理歴史科「世界史A」の教科目標論的考察 : 社会認識教育としての歴史学習の視座から

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高等学校地理歴史科に登場した新科目「世界史A」は, 前近代の歴史の通史の枠を取り払ったことにおいて, 画期的な歴史科目である。それは, 直接的には従前より力説されてきた近現代史の学習を時間的に保証することに由来するものであるが, その内容と構成を検討すると, そこには「時間」軸を無視・軽視し, 「空間」に傾斜した認識の論理と, その背景としての「共存・共生」の原理が見えてくる。それはそれとして評価されるべきものであるが, そのような前近代の扱いには, 科学的社会認識の形成という視座から歴史学習の本旨に照らして, 問題はないだろうか。本小論は, 高等学校地理歴史科「世界史A」の前近代の部分について, 歴史学習の本旨という観点から考察を加え, 前近代の改善された授業試案を提示する。