広島大学総合博物館研究報告 9 号
2017-12-25 発行

御調八幡宮の絵馬

The report of the Emas (votive picture) in Mitsugi shrine
中川 満帆
全文
15.3 MB
BullHiroshimaUnivMuseum_9_103.pdf
Abstract
今回,筆者らは広島県三原市に所在する御調八幡宮の絵馬を調査する機会を得た。本稿では,昭和戦前(昭和20年)までに奉納されたと考えられる64 面について,画題・奉納年・奉納者・規模などの概要を述べた。作者については,ほとんどの絵馬で詳らかにすることはできなかったが,西村楠亭のように名の知れた画家の作品があること,大阪の絵馬屋で購入したものが含まれることなどが明らかとなった。また額等に残る銘から奉納年が判明しているものが52面と約8割もあった。これらから奉納の最盛期が明治時代,特に1880年から1900年の20年間であり,1900年以降は次第に減少していることが判明した。後世の着彩,すなわち修理が行われていることも確認でき,地域として絵馬を保護しようとした姿勢を窺え,64面という県内では有数な奉納数の多さと考え合わせると地域の民衆の信仰心の厚さを示していると考えられた。
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絵馬
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