手関節の運動動態に関する実験的研究
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File |
diss_ko945.pdf
9.35 MB
種類 :
fulltext
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Title ( jpn ) |
手関節の運動動態に関する実験的研究
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Title ( eng ) |
Experimental Study on the Kinematics of the Wrist Joint
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Creator |
Mochizuki Yu
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Abstract |
手関節障害の病態を解明すべく,正常手関節の運動動態を対象とした研究が過去数多くなされてきた。肢位を変えて撮影した単純レ線写真や,連続動態撮影(cineradiography)を用いた研究などである。しかし,手根骨は小さく複雑な形態をしているため,レ線写貞上の角度測定で目印となる特徴的な所見に乏しく,測定できる手根骨も限られ,特に三角骨周囲の運動をレ線学的にとらえて解析することは極めて困難であった。また,レ線写真正面像で得られる所見は少なく,各手根骨間の角度測定を有効に行えるのは側面像であり,運動を1方向から解析しているにすぎなかった。しかも,手根骨は多軸性の回転運動を行っているため,測定値が手根骨の運動を正確に反映しておらず,撮影時のわずかなねじれにより測定値が大きく変動する欠点が指摘されてきた。そこで著者は,手根骨の3次元運動に相応できるように,ひずみ計を用いた測定装置を考案し,現在まで解析が極めて困難とされてきた三角骨周囲の運動動態を含めた手関節全般の運動動態を解析した。なお,実験にはarterial embalming方式で保存された屍体30体,36手関節を用いた。その結果,各運動方向で手関節の運動動態はおのおの異なり,現在までに発表された理論の1つで手関節のすべての運動動態を理解することは極めて難しいという結論に達した。すなわち,背屈運動では,背屈30度までは掌側の靭帯を介して舟状骨と三角骨は遠位手根骨列と密接に関連して背屈し,その背屈力は手根骨間靭帯を介して月状骨に伝達されるが,特に手関節尺側部分が橈側部分より密接に関連して運動し,背屈力は舟状骨よりも三角骨を介して月状骨に伝達される。
それに加えて有頭骨が月状骨を背屈させるため,手根中央関節の中では有頭骨・月状骨間が最大の運動を示す。背屈30度以上では,橈骨遠位関節面の掌側への傾斜のために近位手根骨列の背屈が制限され,手関節の背屈は主に手根中央関節で行われる。掌屈運動では,背屈運動と異なり手根中央関節で密接に関連した運動は認められず,各手根骨の関節面の形態と摩擦力により掌屈力が遠位手根骨列から近位手根骨列に伝達されるが,手関節橈側部分が尺側部分より密接に関連して運動し,掌屈力は舟状骨を介して月状骨に伝達される。さらに,有頭骨からの掌屈力が舟状骨からの掌屈力に加わり月状骨から三角骨に伝達されるため,三角骨・有頭骨間に最大の運動が認められる。背屈運動と掌屈運動は同一平面上の運動ではあるが,力の伝達経路が異なると考えられた。橈屈運動では,有頭骨を中心として遠位手根骨列が橈側へ回転することにより.舟状骨が尺側へ移動しながら掌屈し,その力は月状骨から三角骨へと伝達される。三角骨周囲の運動は橈屈10度以上で増大する。尺屈運動では,有頭骨を中心として遠位手根骨列が尺側へ回転することにより三角骨が橈側へ移動しながら背屈し,その力は月状骨から舟状骨へ伝達される。同一平面上の運動ではあるが,尺屈運動では橈屈運動と異なり,各手根骨の運動が円滑に行われる。以上のごとく,運動方向により異なる動態を示す手関節運動の中で,円滑に行われていたのは掌屈および尺屈運動であり,橈骨遠位関節面の形態が手関節運動に大きな影響を与えると考えられた。 さらに,手関節運動における橈骨手根関節と手根中央関節の関与の割合については以下のごとく結論した。すなわち,背屈運動では,背屈30度までは橈骨手根関節と手根中央関節は同じ割合で運動するが,背屈30度以上では手根中央関節での運動が主体である。掌屈運動では,掌屈40度までは橈骨手根関節と手根中央関節はほぼ等しい割合で動き,掌屈40度以上では椀骨手根関節の動きはわずかに認められるに過ぎず,手根中央関節の運動が主体である。橈屈運動では,橈骨手根関節と手根中央関節の両者にほぼ等しい運動が認められる。尺屈運動では,手根中央関節の運動も認められるが,橈骨手根関節の運動が主体である。 著者が考案し作製した測定装置は,従来の方法では測定が極めて困難とされてきた手関節尺側部分,特に三角骨周囲の運動を含めた手関節全体の3次元運動を解析するのに有用であった。また,この測定装置は舟状骨骨折,Colles骨折,Kienböck病や手根不安定症などの実験モデルへの応用も可能と考えられ,これらの手関節障害の病態の解明に役立つものと推考する。 Although many experimental and clinical studies have been reported in the past, the kinematics of the wrist joint is still controversial. And wrist motion is notoriously difficult to measure on radiographs. Consequently, we measured the carpal motion directly by means of strain gauge attached to measuring apparatus. The relative motions between two selected carpal bones or between the lunate and the radius during wrist motion were studied using thirty cadaver specimens.
In summary, the following conclusions are drawn : 1. Extension is about equally divided between radiocarpal and midcarpal joints below 30°angle. Over 30°angle, extension takes place mainly at the midcarpal joint. 2. Flexion is about equally divided between radiocarpal and midcarpal joints below 40°angle. Over 40°angle, flexion takes place mainly at the midcarpal joint. There is a greater contribution by the midcarpal joints to flexion than extension. 3. Radial flexion is about equally divided between radiocarpal and midcarpal joints. 4. Ulnar flexion takes place more at the radiocarpal than the midcarpal joint, although both contribute. 5. The measuring apparatus is very useful to analyse the three dimensional movements of wristr joints. This study offers fundamental data which may contribute to elucidate the pathogenesis of wrist joint disorders. |
Keywords |
手関節
運動動態
屍体標本
ひずみ計
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NDC |
Medical sciences [ 490 ]
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Language |
jpn
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Resource Type | doctoral thesis |
Rights |
Copyright(c) by Author
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Publish Type | Not Applicable (or Unknown) |
Access Rights | open access |
Source Identifier |
広大医誌, 39(1): 105~126, 平3・2月 (1991)
references
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Dissertation Number | 甲第945号 |
Degree Name | |
Date of Granted | 1991-03-25 |
Degree Grantors |
広島大学
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