6位に水酸基を有する胆汁塩の比較生化学的研究
アクセス数 : 997 件
ダウンロード数 : 1328 件
今月のアクセス数 : 5 件
今月のダウンロード数 : 4 件
この文献の参照には次のURLをご利用ください : https://doi.org/10.11501/3055211
File |
diss_otsu2135.pdf
22.4 MB
種類 :
fulltext
|
Title ( jpn ) |
6位に水酸基を有する胆汁塩の比較生化学的研究
|
Creator | |
Abstract |
1. 5β-cholestane-3α,6β,7α,25,26-pentolの合成
ケノデオキシコール酸を低温下にクロム酸酸化して7-ケトリトコール酸とし、これをメチルエステル-アセタートとした後に酢酸中で臭素と処理して6-プロム体とし、これの7位のケト基をNaBH4で還元し、酢酸中亜鉛と処理後、アルカリ加水分解して3α-hydroxy-5β-chol-6-enoic acidを得た。これの3α-水酸基をホルミル化して保護した後、Arndt-Eistert反応により側鎖炭素の一個延長された3α-hydroxy-25-homo-5β-cho1-6-en-25-oic acidを得た。これをメチルエステル化後、m-クロロ過安息香酸酸化して6,7-epoxideとし、酢酸と処理後、アルカリ加水分解して3α,6β,7α-tri-hydroxy-25-homo-5β-cholan-25-oic acidを得た。これをアセタートにし塩化チオニル処理で酸塩化物とした後、ジアゾメタンと反応させてジアゾケトン体を得た。次にこれを酢酸と処理し3α,6β,7α.26-tetraacetoxy-27-nor-5β-cholestan-25-oneとし、最後にこれとCH3MgIとをGrignard反応により縮合させて、最終目的物である5β-cholestane-3α,6β,7α,25,26-pentolを得た。 この合成品はWest Indian manateeの胆汁主成分、α-trichecholとTLC,GLC,GC-MS,1H-NMRの全てにおいて完全に一致し、その構造を5β-holestane-3α,6β,7α,25,26-pentolと確定することができた。 2. 3α,6α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholanoicacidと3α,6α,7α,12α-tetra-hydroxy-5β-cholestanoicacidの合成 コール酸をn-プロモこはく酸イミド酸化して7-ケトデオキシコール酸とし、これをエチルエステル-アセタートとした後、酢酸中で臭素と処理し、6-プロム体を得、これを室温下に希アルカリで処理後、メチルエステルとしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製、その7-ケト基を水素化ホウ素ナトリウムで還元後、アルカリ加水分解して3α,6α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholanoic acidを得た。これをアセタートとした後、クロロ炭酸エチルを反応させて生じた酸無水物を、水素化ホウ素ナトリウムで還元して24-アルコールとし、次にこれをピリジニウムクロロクロメイトで酸化して得たアルデヒドに(carbethoxyethylidene)triphenylphosphoraneをWittig反応で縮合、アルカリ加水分解して3α,6α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholest-24-en-oic acidを得た。このΔ24酸を白金触媒のもとに接触還元し目的物質である3α,6α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholestanoicacidを得た。 Zellweger's syndrome患者の尿中C27胆汁酸の一つはこの合成C27胆汁酸とガスクロマトグラフィー上の挙動とマススベクトルが完全に一致し、その生成、存在を確定することができた。 3. 3α,6β,7α,12α-tetrabydroxy-5β-cholanoicacidと3α,6β,7β,12α-tetra-hydroxy-5β-cbolanoic acidの合成 コール酸メチルをNBS酸化により7-ケト体にした後、1.と同じ方法によりmethyl 3α,12α-diacetoxy-5β-chol-6-enoateを調製、そのΔ6二重結合をm-クロロ過安息香酸を用いてエポキシ化し、これを酢酸と処理後、アルカリ加水分解して3α,6β,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholanoic acidを得た。3α,6β,7β,12α-tetrahydroxy-5β-cholanoicacidは同じくmethyl 3α,12α-diacetoxy-5β-chol-6-enoateを四酸化オスミウム酸化後、アルカリ加水分解して調製した。 羊水中胆汁酸と、これら二種の合成品と2.で合成した3α,6α,7α,12α-tetra-hydroxy-5β一cholanoic acidとを直接に比較検討した結果、ヒト体液中にこれら三種の6-水酸化C24胆汁酸が存在していることを確認することができた。 4. 6-水酸化胆汁塩の生成と存在の意義 本研究において6位に水酸基を有する胆汁アルコールとC27胆汁酸の存在を初めて確定することができ、またヒト体液中に6位に水酸基をもつ三種のテトラヒドロキシC24胆汁酸が常在しているという事実も明らかにすることができた。これらの結果より、6位に水酸基を有する胆汁塩は決して特定の動物に種属特異的に生成し存在するものではなく、むしろ6-水酸化能はヒトを含めて全ての動物に広く分布存在するものであって、動物の種類、年齢、健康状態によって活性の強弱が異なるに過ぎないということを明らかにすることができた。 |
Descriptions |
目次
序章 6-水酸化胆汁塩 / p1 第1章 6位に水酸基を有する胆汁アルコール / p12 第2章 6位に水酸基を有するC₂₇胆汁酸 / p21 第3章 6位に水酸基を有するC₂₄胆汁酸 / p27 終章 要約 / p33 実験の部 / p35 参考文献 / p50 謝辞 / p58 |
NDC |
Medical sciences [ 490 ]
|
Language |
jpn
|
Resource Type | doctoral thesis |
Rights |
Copyright(c) by Author
|
Publish Type | Not Applicable (or Unknown) |
Access Rights | open access |
Source Identifier |
1. Michiko Yoshii, Mizuho Une, Kenji Kihira, Taiju Kuramoto,and Takahiko Hoshita. Synthesis of 5β-cholestane-3α, 6β, 7α .25, 26-pentol and identification of a novel bile alcohol, α -trichechol, present in the West Indian manatee bile. Chem. Pharm. Bull., 37. 1852-1854 (1989) (第1章)
references
2. Mizuho Une, Nobuko Kisaka, Michiko Yoshii, and Takahiko Hoshita. Identification of 3α, 6α .7α
references
12α-tetrahydroxy-5β-cholestanoic acid in Zellweger's syndrome. J. Biochem., 106, 501-504 (1989) (第2章)
references
3. Michiko Yoshii, Kenji Kihira, Junichi Shoda, Toshiaki Osuga, and Takahiko Hoshita. Identification of 3, 6, 7, 12-tetrahydroxy-5β-cholan-24-oic acids in human biological fluids. Steroids, 55, 512-515 (1990) (第3章)
references
[DOI] http://dx.doi.org/10.1248/cpb.37.1852
references
[URI] http://joi.jlc.jst.go.jp/JST.Journalarchive/biochemistry1922/106.501
references
[DOI] http://dx.doi.org/10.1016/0039-128X(90)90090-X
references
|
Dissertation Number | 乙第2135号 |
Degree Name | |
Date of Granted | 1991-03-07 |
Degree Grantors |
広島大学
|